「新撰組!」

新撰組!は面白いドラマで、途中から見始めたのが口惜しかったし、派生して新撰組関連の書籍も何冊か読むことになったくらい良い作品だったのだが、一ヶ所だけひっかかるところがあるのだった。

近藤勇という人は女好きで妻以外の多くの女性と関係を持ち、芸者を身請けして妾にしたりもしていたようだ。
その時代の他の男性と比べても遊び過ぎの部類だったようだが、彼が歴史に名を残すに至った事象とそれらは関係がないし、当時としては特に非難される程行き過ぎた行為ではなかったようだし、その事についてどうのこうの言われることはないように思う。
しかし「妻以外に2号を囲う」というのはその事柄だけを取り出し、現在の一般的常識から考えると、誠実な男性像を作り得ないと、脚本家は考えたのではないだろうか。

新撰組!」の局長は、「誠実な男性像」をもっていないとダメらしかった。
そのまま扱うと、女性視聴者の支持を得られないとも考えたのかもしれない。

そうはいっても遊んでいただけの他の女性たちはともかく、実際に身請けした芸者に関してはさすがに作中で無視するわけにもいかなかったようで、結局どうしたかというと、なんかよくわからないけど妻も大事だけどこの人のことも大事にしたいので的に身請け話を持ち込んでいたのだった。

その顛末が書かれたエピソードはそれはそれで面白い話だったので、いいといえばいいのだが、やっぱりどうにも私には、そんな局長像が偽善的というか、現在人の視線にあわせて歪められた不自然な姿のように思えてならないのだった。やってることは本妻以外に妾を娶っているっていうのに、なんだか良い話っぽくもっていこうとする感じが、なんとも片腹痛いと言うか。

でも組!は面白い大河ドラマだと思います。基本的には好きです。